丹波市にお住まいのY様。以前もご利用いただいた方です。
今回は、長年コレクションしてきた全集の一部を手放されたいと言うことで、ご相談をいただきました。

■お客様のお悩み

Y様は、日本文化や文学、美術などに高い関心を持ち、造詣の深い方です。今回ご相談のあった全集以外にも、さまざまな全集・画集を集めておられます。
その中でも、特に今回の「現代日本絵巻全集」には思い入れがあり、60年程前に少しずつ集めてこられたのだとか。

ただ、当時まだ若かったY様。余裕のない中で必死に集めておられたそうで、全巻揃っていない状態です。それが心残りで、今さら全巻を揃えることも難しいため、思い切って手放すことにしたのだと言います。
「もしかすると、私のように全巻揃っておらず、探されている方がいすかもしれない。このままうちで眠らせておくよりも…」とのことで、ご相談をいただきました。

■スタッフの提案

全集コレクションは、揃っていることで価値が見出されます。そのため、抜けがあると、買い取り価格が下がってしまうことも少なくありません。まずは、その点を正直にお伝えいたしました。

ただ、抜けがあったとしても、装丁の美しさを楽しみたい方や研究に役立てたい方にとっては、十分意味のある資料となります。Y様の仰る通り、全集だからこそ抜けを求め続けている方がおられるというのも事実。ご希望に沿って、必要とされる方への橋渡しをお手伝いさせていただきたい旨、お伝えいたしました。

＜古本豆知識＞

全集とは、一体何なのでしょうか。

全集のご説明の前に、まずは、単行本について。
単行本とは、ひとつの作品を収めた書籍のこと。幅広い読者層向けの出版物だと言えます。
次に、選集。
これは、ある著者の作品の中から作品を選び、まとめたものです。作品は、編集者や専門家によって選ばれるため、選ぶ人の個性が影響したものとなります。
では、全集とは。
ある著者の全作品、もしくは特定のテーマに沿い、網羅的に収めたものとなります。著者の全体像が把握できることから、研究者やコレクターにとって高い価値を持つもの。それが全集です。

■対応内容

シミは見られるものの、経年によるものであり、これは許容範囲だと感じました。
それ以上に装丁が美しく、また、挿絵は色あせもなく美しいまま！
全巻揃いではありませんでしたが、愛好家やコレクターにとって価値のあるセットと判断し、16冊セットで6,000円という査定額をつけさせていただきました。

■お客様のお声

「全集は全巻揃ってはじめて価値があるものだと思っていたので、お値段は付かないかも…と諦めていました。それでも、以前も利用した下草書店さんなら、きっと誰かに繋いでくれると確信していましたから、それでもいいかな、と。
すると、想像以上の評価！ビックリしました！
大切にしてきた本です。また誰かに楽しんでもらえると思うと、やっぱり嬉しいですね」と、素敵な笑顔を見せていただき、私どもも大変嬉しく感じました。

■スタッフのひとこと

全集や画集の収集は、金銭的も大きなものとなります。そしてそこに、思い出も詰まります。そのため、不要になっても手放すタイミングが見つからず、勇気がいるもの。

今回の全集も、Y様が若かりし頃に一生懸命集めたコレクション。手放す決心はいかばかりかと思います。
だからこそ、次の持ち主に必ず繋げて参ります！
Y様の大切なコレクションをお任せいただき、ありがとうございました。

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