養父市のH様より、「とても古い雑誌なので価値はないかもしれないのですが父の形見なので捨てがたく……」と「電波技術」という専門誌10冊についてお問い合わせがありました。
専門的過ぎることから、H様ご自身、手元において楽しめるようなものではないということで、泣く泣く手放されるというご様子が伺えました。
■お客様のお悩み
H様は、半年ほど前にお父様を亡くされたのだそうです。やっと遺品整理を進める気持ちとなり、書斎の棚から、今回お持ちいただいた「電波技術」を10冊見つけたとのこと。
「本棚の特等席にあり、きっと父親が大切にしていたものだと思うので、形見として持っておくつもりでしたが、あまりに専門的過ぎて……」とお困りのご様子。「父は若い頃に電子工学を学び、家でもはんだごてを握っていろいろ作ったりしていたので、きっとこれは父のバイブルだったのでしょう。でも、だからこそ、父と同じような方にとっては宝物になるのではと考え、下草書店にお任せすることにしました。父が遺したものを、ゴミとして扱うことはできませんから」と、仰っていただきました。
■スタッフの提案
専門誌であることから、「古い上に専門誌過ぎて、需要の発掘が難しいのではないか」と、H様は懸念しておられるようでした。
そこで私たち下草書店では、幅広い販売網を持っており、あらゆる専門誌を取り扱えることをご説明すると同時に、戦後から高度経済成長期にかけて出版された各種技術誌が、現在も多くの研究者やコレクターに求められていることについてもお話をいたしました。
内容が古いからこそ、当時の技術的トレンドや広告、研究者の寄稿文が宝となります。今となっては、手に入れられないものですから。
貴重な時代資料であることが分かり、「父の情熱が詰まった本なんですね」と笑顔を見せてくださいました。
<古本豆知識>
1960年代の日本は、家電・無線・通信技術が急速に発展した時代。そんな中で、「電波技術」や「無線と実験」といった専門誌は、エンジニアや学生にとって情報の最先端を担う存在となっていたものとなります。
当時の記事には、ソニーや松下通信といった企業の研究成果も多く掲載されていることから、戦後日本の技術革新の軌跡をたどることができる重要資料とも言えます。こうした雑誌はもはや実用書ではなく、昭和の科学史を語る上での貴重な文化的遺産と言えるものであり、現在も広く評価され続けているのです。
■対応内容
遠方ということもあり、宅配でのお買取をご提案しました。
後日届いたH様からの荷物は、丁寧に梱包されており、ご家族の思いがひしひしと伝わってきます。
10冊すべてを慎重に査定したところ、ヤケやスレ、若干の表紙破れはありましたが、ページ破損はなく全体的に概ね良好な状態だと評価。記事内容も、当時の最先端研究や海外技術紹介が掲載されており、今でも歴史資料として非常に興味深いものだと言えます。今後、専門分野の研究機関やコレクターに求められること、そして再び価値を発揮できると判断し、3000円の査定額をご提示いたしました。
■お客様のお声
「父は“知らないことを知っていくこと”が好きな人で、何よりも大切にしていました。今回の雑誌は、その証のような存在だなと思っています。父と志を同じくする方にこの雑誌が届き、喜ばれることを想像すると、とても嬉しくなります。必要としてくれる方のもとへ届けてもらえるのは、本当にありがたいです」と、H様よりお言葉をいただきました。
難しくて理解しきれない専門書だからこそ、それを探している誰かがいます。今回のH様のように、“手放す”こともきっと、最高の形見分けのカタチなのかもしれません。
■スタッフのひとこと
「電波技術」は、1950〜70年代にかけて電子工学・無線通信・トランジスタ開発などを扱った専門誌。戦後日本の産業発展を支えた、技術者たちの熱意が詰まっている貴重な雑誌です。
こうした雑誌は、内容の専門性ゆえに一般の方には馴染みが薄く、あまり知られていないものですが、古い図面や広告のデザインにも時代の息づかいが残っており、知る人ぞ知る貴重本。
今回のH様のように、「捨てずに相談してくださる方」がいるからこそ今も残り、後世に素晴らしさを伝え続ける雑誌として生き続けています。
ご自宅で見つけられた際には、捨ててしまうのではなく、ぜひ下草書店までお声掛けください。
こうした貴重な文化資料を、しっかりと次の世代へ受け継いでいく。その責任を改めて感じた買い取りとなりました。
その本、本当は価値があるかも?
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本棚に並んだ背表紙をスマホで撮って送るだけ。
タイトルの入力も、本を1冊ずつ出す必要もありません。
査定額に納得できなければ、もちろんキャンセルOK。
気になる本があれば、まずはお気軽にお試しください。
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