誕生 1964年10月25日
没年 -
日本の小説家。本名は熊谷 奈苗(くまがい ななえ)。青森県青森市生まれ。
学生時代に『少年少女世界推理文学全集』を読み、ミステリに触れ、夢中になり大きな影響を受ける。高校では新聞部に入り、エッセイを書く。個人誌『すいかずら』を作り、詩歌や小説・エッセイの連載を行うも、非公開であり、誰にも見せてはいない。
会社に勤務していたが、退職後に小説を執筆。
1991年に書き終えた『六番目の小夜子』が第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となり、翌1992年に刊行。作家デビューする。
経験を積むため、就職。兼業作家となるが、作家として安定した1997年に専業作家となった。
2004年、『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞受賞。
2005年、『夜のピクニック』で第2回本屋大賞受賞。
2006年、『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞受賞。
2007年、『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞受賞。同年江戸川乱歩賞選考委員に就任。
2017年、『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞及び、第14回本屋大賞受賞。同じ作品での直木賞と本屋大賞のダブル受賞と、同じ作家2度目の本屋大賞受賞は史上初の快挙。
作品例
<小説>
『六番目の小夜子』1992年
『球形の季節』1994年
『不安な童話』1994年
『三月は深き紅の淵を』1997年
『光の帝国 常野物語』1997年
『大きな引き出し』1994年
『二つの茶碗』1995年
『達磨山への道』1995年
『オセロ・ゲーム』1995年
『手紙』1995年
『歴史の時間』1996年
『草取り』1997年
『光の帝国』1995年
『黒い塔』1997年
『国道を降りて…』1997年
『象と耳鳴り』1999年
『曜変天目の夜』1995年
『新・D坂の殺人事件』1998年
『給水塔』1996年
『象と耳鳴り』1997年
『海にゐるのは人魚ではない』1997年
『ニューメキシコの月』1996年
『誰かに聞いた話』1998年
『廃園』1998年
『待合室の冒険』1998年
『机上の論理』1999年
『往復書簡』1999年
『魔術師(書き下ろし)』1999年
『月の裏側』2000年
『ネバーランド』2000年
『麦の海に沈む果実』2000年
『上と外』2000年
『puzzle[パズル]』2000年
『ライオンハート』2000年
『MAZE[メイズ]』2001年
『ドミノ』2001年
『黒と茶の幻想』2001年
『図書室の海』2002年
『劫尽童女』2002年
『ロミオとロミオは永遠に』2002年
『ねじの回転』2002年
『蛇行する川のほとり』2002年 - 2003年
『まひるの月を追いかけて』2003年
『クレオパトラの夢』2003年
『黄昏の百合の骨』2004年
『禁じられた楽園』2004年
『Q&A』2004年
『夜のピクニック』2004年
『夏の名残りの薔薇』2004年
『ユージニア』2005年 角川書店
『蒲公英草紙 常野物語』2005年
『ネクロポリス』2005年【上・下】
『エンドゲーム 常野物語』2006年
『チョコレートコスモス』2006年
『中庭の出来事』2006年
『朝日のようにさわやかに』2007年
『木洩れ日に泳ぐ魚』2007年
『いのちのパレード』2007年
『不連続の世界』2008年
『きのうの世界』2008年
『ブラザー・サン シスター・ムーン』2009年
『訪問者』2009年
『六月の夜と昼のあわいに』2009年
『私の家では何も起こらない』2010年
『夢違』2011年
『私と踊って』2012年
『夜の底は柔らかな幻』2013年【上・下】
『雪月花黙示録』2013年
『かがみのなか』2014年
『EPITAPH 東京』2015年
『ブラック・ベルベット』2015年
『消滅 VANISHING POINT』2015年
『タマゴマジック』2016年
『蜜蜂と遠雷』2016年
『七月に流れる花』2016年
『八月は冷たい城』2016年
『終りなき夜に生れつく』2017年
『失われた地図』2017年
『錆びた太陽』2017年
『おともだちできた?』2017年
『祝祭と予感』2019年
『歩道橋シネマ』2019年
『ドミノin上海』2020年
『スキマワラシ』2020年
『悪い春 202X』2020年
『灰の劇場』2021年
『薔薇のなかの蛇』2021年
『愚かな薔薇』2021年
『なんとかしなくちゃ。青雲編 』1970 - 1993
『鈍色幻視行』2023年
<連載終了作品>
『夜果つるところ』2010年 - 2011年
<連載中>
『闇の絵本』2012年 -
『青葉闇迷路』2011年 -
『梟の昼間』2012年 -
『珈琲怪談』2014年 -
『太陽の末裔』2015年 -
『傾斜のマリア』2017年 -
『spring』2020年 -
『追憶の五重奏』2020年 -
『産土ヘイズ』2022年 -
<連載中断>
『デッドライン』2004年 - 2006年
『ダンデライオン』2009年 - 2013年
<エッセイ・紀行文>
『「恐怖の報酬」日記 酩酊混乱紀行 イギリス・アイルランド』2005年
『小説以外』2005年
『メガロマニア あるいは「覆された宝石」への旅』2009年
『土曜日は灰色の馬』2010年
『隅の風景』2011年
『作家の口福』2011年
『執筆前夜 女性作家10人が語る、プロの仕事の舞台裏。』2005年
『ほかの誰も薦めなかったとしても今のうちに読んでおくべきだと思う本を紹介します。』2012年
『ビール アンソロジー』2014年
『日曜日は青い蜥蜴』2020年
『月曜日は水玉の犬』2022年
<戯曲>
『猫と針』2008年
<共著>
『読書会』山田正紀 2007年
『NHKスペシャル 失われた文明 インカ「書き下ろし紀行エッセイ収載」』NHK「失われた文明」プロジェクト 2007年
『NHKスペシャル 失われた文明 マヤ「書き下ろし紀行エッセイ収載」』NHK「失われた文明」プロジェクト 2007年
『NHKスペシャル 失われた文明 アンデスミイラ「書き下ろし紀行エッセイ収載」』NHK「失われた文明」プロジェクト 2007年
『横浜の名建築をめぐる旅』菅野裕子 2021年
『SF読書会』山田正紀 2021年
ひとこと
恩田陸の魅力は、ジャンルが多種多様であること。作家とは、一般的に得意のジャンルで固定されてしまうものですが、恩田陸に至っては、ミステリー、ファンタジー、ホラー、SF、青春小説というように本当に幅広く、魅力的な作品を生み出しています。多才だからこそ読者層も厚く、さらには読者自身が新たなジャンルを読んでみるきっかけにもなっており、常に新鮮な驚きと発見を提供してくれる作家だと言えます。
そして、どのジャンルにおいても、登場するキャラクターたちが立体的であり、とても生き生きと描かれているのが特徴です。そのために必要となるのが、キャラクター描写。人物の背景、そこに至った軌跡、感情が丁寧に表現されており、読者はグイグイとキャラクターの心情に引き込まれ、深く共感できるよう描かれているのです。
人生の一部にある、どこか懐かしい一瞬を切り取って内容に含めることにより、読者が自身の感情を思い起こせるような作品になっているのが素敵なんですよね。
恩田陸は、作品作りを行う際、題材を選定し、取材し、イチから作り上げていくのだと言います。つまり、既にある自分の引き出しを活用して作品作りを行うのではなく、書くと決めて、そこから引き出しを作っていくようなもの。
バレエを取り上げた『spring』では、舞踏家にインタビューを行うも、理論や振り付け、舞台については話を聞けたものの、肝心なダンスについては「言語化できない」と言われてしまい、諦めかけたというエピソードがあります。しかし「作家たるもの!」と気持ちを奮い立たせ、腹を括ったのだとか。そして生み出された傑作は、バレエの本でありながら、小説の凄さも見せつける作品となったのです。
心揺さぶられる作品を読みたいなら、恩田陸、お勧めです。
恩田陸に関する物なら何でもご相談下さい。
珍しい物は高額にて評価致しますので、お気軽にご連絡くださいね。