加古川市にお住まいのU様より、数多くの全集の買取依頼をお電話でいただきました。最近では読み返すことが少なくなったため、思い出深い全集の処分を決意されたとのことでした。

■お客様のお悩み

U様は、かつて高校で国語を教えておられたとのこと。授業の参考にと、森鴎外や志賀直哉、芥川龍之介、さらには海外文学の巨匠ドストエフスキーまで、岩波書店をはじめ、様々な全集を長年にわたり収集されてきたのだそうです。
しかし、定年から10数年が経ち、読み返すことも少なくなり「そろそろいいかな」と感じられたとのこと。思い出深い全集を処分することにはためらいもあったそうですが、ご自身の節目として、下草書店にご連絡をくださいました。

■スタッフの提案

お電話でお話を伺った際、U様から「大切にしてきたものを次に活かしてほしい」というお気持ちを強く感じました。そこで、ご安心頂くため、まずは全集の状態を詳しく確認させていただくこと、そして適切に引き継げるように全冊を一括でお引き受けすることをご提案いたしました。というのも、全集はひとまとまりで、ひとつの作品。バラバラになると商品価値だけでなく、文学的な価値も下がってしまうからです。
そしてお買い取り後は、「全集」であることを崩すことなく、まとまったまま次の読者へお渡しすることをお約束いたしました。

＜古本豆知識＞

今回、お買い取りした全集の大半を占めるのが、岩波書店の文学全集シリーズ。昭和より長く愛される定番のコレクションです。

森鴎外全集（1971年～）、ドストエフスキー全集（1971年～）、志賀直哉全集（1974年～）、芥川龍之介全集（1995年～新版）など、国内外の名作を網羅。函入りのしっかりした造本で保存性が高く、研究者や愛好家にとって貴重な資料となっています。

一式揃っていることが大きな価値を持つ全集。状態の良いものには、安定した需要があります。

■対応内容

大量にあること（写真の本は一部です）から、出張でのお買い取りとなりました。
伺うと、書棚にズラリと函入りの全集が並べられており、その美しい保存状態に驚かされました。多少のヤケはみられますが、経年で考えると気にならない程度だと言えます。函入りなので本自体は大変美しく、また函の状態もよく、丁寧に扱われていたことが伝わってきます。

岩波書店の全集は長く親しまれているシリーズであり、コレクションとして高い価値があります。査定の結果、まとめて8,000円でお引き取りさせていただきました。

■お客様のお声

U様にお話を伺うと、こんなにも多くの文集をお持ちであるのは、教師としてもさることながら、収集には趣味の一面もあったのだと言います。
「学生たちに文学の面白さを伝えるため集めてきた本なので、どの作品にも思い出が詰まっています。でも、定年を迎え、ここしばらく手に取らない日々が続いています。このまま眠らせておくのはもったいないですよね。誰かの学びや楽しみになってもらえるならと思い、下草書店にお電話をいたしました。
きちんと状態を見ていただき、評価してもらえたことが嬉しかったです」と、笑顔で語ってくださいました。

■スタッフのひとこと

長年、教育の現場で文学を教えてこられたU様。その情熱が、一冊一冊の丁寧な扱いに表れていると感じました。本というのは読むだけの物ではなく、その人の人生や仕事の軌跡を映し出すものでもあるんですよね。

今回、受け継がせていただいた全集は、新しい読者へと橋渡しして参ります。
U様と同様、全集をお持ちで、手放すことをお考えの方は、ぜひ下草書店にお任せください。

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