丹波市のN様より、世界ユーモア文学全集はじめ、大変希少な本を数多くお買い取りいたしました。ほぼ、市場に出てくることのない歴史的価値のある本ばかり。きれいに残されていることに大変驚いた買い取りとなりました。

■お客様のお悩み

N様からお預かりしたのは、「世界ユーモア文学全集」「世界戯曲全集」「東洋音楽選書」「北条秀司戯曲選集」「モリエール全集」「世界文学鑑賞辞典」「小林一三日記」など、今ではほとんど市場に出てこない希少な本ばかり。
お話をうかがうと、これらはすべて亡くなられたお父様の蔵書とのこと。
お父様は地元で、長く写真館を営まれていた方で、日々の撮影の合間に文学・音楽・舞台芸術の本を集め、手にとっては表現の勉強をされていたと言います。そして口癖は、「写真は光で芝居をするものだ」と。アーティストとしての気迫を感じますよね。

そして、そんなお父様を見てきたN様は、「父の遺したものを整理したいけれど、乱暴に手放すのだけは嫌。価値を理解してくれるところに託したい」という思いが強く、このたび数ある業者の中より、下草書店を選んでいただいたとのこと。
そのように言っていただけて、ありがたい限りです。

■スタッフの提案

ご依頼品を前にしてまず驚いたのは、状態の良さ。昭和中期の本が中心にもかかわらず、破れや背割れなどなく、どれを取っても驚くほどきれいだと感じます。
「保管環境がとても良かったのですね。日光や湿気を避け、一冊一冊を丁寧に扱われていたことがよく分かります」とお伝えすると、「写真の扱いを熟知した父ですから」と、誇らしげに胸を張って話すN様が印象的でした。

どれも、歴史的価値のある入手困難な希少本ばかり。それも1冊ではなく、全巻揃いや、全巻ではなくとも多くの巻が揃っているのですから、驚かされます。

N様は「父が大事にしていたものだから、こうやって丁寧に扱ってもらえると安心します」とゆっくり頷かれていました。

＜古本豆知識＞

今回のような 戦後〜昭和期の文学全集・演劇全集・芸術系叢書は、そもそもの発行部数が少なく、現代ではほとんど見ることのできない本となっています。
特に「世界ユーモア文学全集」や「北条秀司戯曲選集」のようなシリーズは専門のコレクターが存在し、状態が良いものは数年に一度出てくるかどうか。
また、写真・舞台・音楽関係の全集は、実用としての資料価値もあります。
N様のお父様が大切に残されていた今回の蔵書は、まさにその好例と言えるものでした。

■対応内容

ほとんどのシリーズが揃っており、欠本もわずか。しかも保存状態が驚くほど整っていたため、できるかぎり高めの査定をつけさせていただき、買取価格は40,000円となりました。

査定結果をお伝えすると「そんなに価値があったんですか！父が喜ぶと思います！墓前に報告に行きます」と、ほっとした表情を浮かべられていました。

■お客様のお声

「父が集めていた本に、こんなに丁寧に向き合ってくれてありがとうございます。高値を付けていただいたのもとても嬉しいのですが、それよりも、“ちゃんと扱ってくれる人に預けたい”という気持ちが強く、そこは絶対に譲れない部分でしたので、下草書店さんにお願いをして本当に良かったと感じました。
本の内容をお聞きするたびに、父らしいなぁと改めて思いました。きっとどの本も、撮影のヒントになっていたのでしょうね。これらの本が、父の“表現の道具”だったのかもしれません」と、懐かしそうなご様子でお話いただきました。

■スタッフのひとこと

写真館を営まれていたお父様の蔵書には、「表現を深めたい」という情熱が宿っていました。文学も戯曲も音楽も、きっと作品を撮る際のインスピレーションになっていたのだと思います。

これらの本は、次にどのような方の元に旅立っていくのでしょうか。
きっと次の読者の元で、また新しい役割を持つはずです。
N様、このたびは大切な蔵書を託していただき、本当にありがとうございました。

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