三木市にお住まいのK様が店頭にお持ち込みくださったのは、岩波書店版の『今昔物語集 全5巻と索引の計6冊』です。K様は、高校で国語を教えてこられた元教師。今年定年退職を迎えられたことをきっかけに、身の回りの整理を少しずつ始めているとのことでした。
■お客様のお悩み
教員時代は授業の参考に、そして趣味である読書の友として、いつも傍らにあったという『今昔物語集 全5巻と索引の計6冊』だったそうなのですが、定年退職し、これからの暮らし方そのものを見直した結果、手放すことにしたのだと話してくださいました。
最近は、海外での生活にも関心がおありだそうで、身軽に動けるよう、本は“今の自分に本当に必要なもの”だけを残す方針に転換。とはいえ、思い入れがあるため、ただ処分するのではなく、価値を分かってくれる人に託したいという思いで、当店へご相談くださったということです。
■スタッフの提案
お話を伺っていると、K様の本に込められた想いが伝わってきました。今回、当店に託していただいた本が、教える現場を支え、そしてK様自身も支えてこられたのだということが分かり、「手放すことに迷いはありませんか」とお伺い。というのも、正直、心配になるほど、この本を大切にしてこられたことが分かったためです。
すると、「迷いはあるけれど、次の場所へ進むための整理でもあるんです」と、お話しするK様。確かに、海外での生活に全集を持っていくのはなかなか困難そうです。
そこで当店は、“手放すこと=終わり”ではないこと、そして“本の役割が次へ引き継がれる”形になるよう手を尽くすことをお話させていただきました。
状態については、経年によるヤケや函のヨレはあるものの、全体として丁寧に扱われてきた印象を受けるため、全集としての価値、そして今も一定の需要がある点をご説明。安心してお任せいただけるよう努めました。
<古本豆知識>
岩波書店の『今昔物語集』は、学術的信頼性と読みやすさを両立した定本として知られています。原文の持つリズムや語感を大切にしながら、注釈や解説も充実していることから、研究者だけでなく、教育現場や一般読者にも長く支持されています。
全集ですから、全巻揃いであることが重要なポイントとなります。今回は欠けがないため、しっかりと評価のできる状態だと言えます。また、発刊から年数が経過していますから、多少のヤケや函の傷みは仕方のないものであり、問題にはなりません。
そのため、「もう古いから価値がない」と思うことなく、このような全集をお持ちで手放されることをお考えであれば、ぜひ下草書店にご相談いただければと思います。
■対応内容
経年によるヤケや函のヨレはあるものの、ページの状態は良好で、書き込みや大きな傷みはなく、全体的にきれいな印象でした。
全集として揃っていること、版元の評価、現在の流通状況を総合的に判断し、買取価格6,000円をご提示させていただきました。
状態を正直にお伝えしたうえで、「きちんと次の読者につなげて参りますね」とお話しすると、K様もご納得の様子。「欲しいと思われる方に繋げていただけるのが嬉しいです。きちんと扱ってもらえるのが分かって安心しました」とのお言葉をいただきました。
■お客様のお声
「教師を辞めたら、“これからどう生きるか”を考える時間が増え、海外という新たな目標ができました。そのためには、持ち物を減らさなければなりません。その減らす対象の多くが本です。本が好きなのと、職業柄もあり、大量に持っているものをどう減らしていくかが、ここしばらくの課題となりそうです。
実は、まだまだ家にはたくさんの本があるのですが、向き合いながら、少しずつ持ち込む予定です。幸いなことに下草書店は家から近いので、じっくり考えながら託していきたいと思います」と、穏やかな表情でお話しいただけたのが印象的でした
■スタッフのひとこと
長く教壇に立ち、言葉や物語を伝えてこられたK様。新しい人生を踏み出すために大切な本を手放すわけですから、託された私たちも、しっかりと繋いでいかなければならないと、責任を感じたお買い取りとなりました。
古本の買取は、単に価格をつける作業ではありません。持ち主が、本と共に歩んできた時間ごと受け取り、次の方へと繋げる大切な役目を担うことでもあります。
この全集が、次の読者のもとでまた愛されることを願いながら、大切にお預かりしました。
K様の新しい暮らしを応援しています。
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