今回のお買い取りは現代作文講座 1～7巻+別巻。「実はこちらの本、全8巻なのですが、どうしても8巻が見当たらなくて…。買い取りは可能でしょうか？」と心配なご様子で、伊丹市のU様にお持ち込みいただきました。

■お客様のお悩み

伊丹市のU様がお持ち込みくださったのは、現代作文講座 1～7巻と別巻（明治書院）。
長年、社内報や記念誌、スピーチ原稿など、“書くこと”に関わる仕事に携わってこられたそうで、人の言葉を整える裏方として、現場を支えてきたとお話しくださいました。

この全集は、「文章を感覚だけに頼らず、きちんと理屈付けできるように」と、長く手元に置かれていたのだそうです。いまは、参照用としての役割を終えたこれらの本を、同じように文章と向き合う誰かの手に渡したいと考えるようになり、手放す決断をされたとお話しくださいました。

■スタッフの提案

拝見してすぐに感じたのは、「とても丁寧に読まれてきた」ということ。書き込みがなく、折れもない。これは、しっかりと、“考えるための本”として扱われてきた証。
そこで今回は、全体の冊数構成と状態を確認したうえで、第8巻が欠けていることを踏まえた査定を行います。内容面では今も十分に通用するシリーズであり、実用書・研究書として次の持ち主に引き継げる状態であることから、現状に即した形でのお買い取りとさせていただきました。

＜古本豆知識＞

『現代作文講座』は、作文を「うまく書く技術」としてではなく、「思考をどう言語化するか」という視点で構成された専門シリーズです。時代背景や教育思想が色濃く反映されており、単なる指導書ではなく、日本語表現史のひとつの断面として読むこともできます。
特に明治書院の講座ものは執筆陣の質が高く、全集として揃っていることで研究資料としての価値が生まれます。よって今回は、第8巻の欠本がとても残念だと感じました。

■対応内容

大きな使用感がないという点は評価できるのですが、欠本があるため、かなりお安く800円でのお買い取りとなりました。
お客様には、金額の根拠と本の立ち位置を丁寧にご説明。ご納得のうえでお預かりいたしました。

■お客様のお声

「これまで文章に向き合う中で、考え方や型を学ぶ時間は十分に持てたと感じています。でもこれからはもう少し自由に、自分の感覚で書いてみたいと思っています。そのために、いったん本棚を整理しようかなと思ったので、実は買取価格は気にしていなくて、下草書店お任せできて、ただただ良かった…という思いでいっぱいなんです」と、仰っていただきました。

■スタッフのひとこと

今回のお買い取りでは、「いくらになるか」よりも、「なぜ今なのか」を聞かせていただく場面が多くあったと感じています。U様にとって『現代作文講座』は、知識の整理ではなく、思考の整理のために使っていた本でした。その役割を終えたこと。それが、手放すタイミングということなのでしょう。
きっと、次の持ち主のもとでも、“考える時間”を与えてくれる本だと思います。
また誰かの節目に寄り添えるよう、丁寧に次へとつなげて参ります。

その本、本当は価値があるかも？
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査定額に納得できなければ、もちろんキャンセルOK。
気になる本があれば、まずはお気軽にお試しください。

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