とある夏の暑い日、三田市にお住まいのW様が「分担解剖学1巻~3巻」を抱えてご来店くださいました。新しい病院への赴任が決まり、引っ越しをされるのだとか。それに伴い、処分を決意されたとのことです。
■お客様のお悩み
“分担解剖学”とは、医学部の学生にとって基礎を築くため、必須となる教科書です。
W様は学生時代、この本を片手に昼夜を問わず勉強に励み、実習では何度もページを開きつつ、人体の仕組みを理解していったのだそうです。
「徹夜で試験に挑んだな。落ち込みながらカフェで読み直したな。…と、いろいろな思い出がこの本に詰まっています」と、懐かしそうにお話ししてくださいました。
今は医師として多忙な日々を送っているというW様。新しい病院への赴任に伴い、引っ越されるとのこと。それがきっかけとなり、“分担解剖学”を手放されることを決め、下草書店にお持ち込みいただいたのだそうです。
■スタッフの提案
内部を確認すると、書き込みやマーカーの跡が見られます。「この本は、まさにW様の努力の証なんですね」とお伝えすると、「当時は必死で、とにかく追いつきたかったんです」と話されます。と同時に、書き込みへの懸念を口にしたW様でしたが、「学びの跡が刻まれた本は、次の学生さんにとって大きな助けになります。書き込みは、必ずしも悪いものではないんですよ」とお話しすると、肩の力が抜けたように見えました。
<古本豆知識>
“分担解剖学”とは、医学部生にとって定番の教科書です。解剖実習の現場でも片手に広げ、見た構造を確認しながらマーカーを走らせた学生は数知れないことと思います。
「分担」というユニークなタイトルの由来は、専門ごとに解剖学者が執筆を分担していることから名づけられたもの。それぞれの専門を活かして執筆していることから、非常に緻密で実践的な内容になっています。戦後すぐに誕生した分担解剖学ですが、改訂を重ね、CTやMRI画像も加わり、今も進化を続けています。
多くの医師や教授が「自分も学生時代に使った」と語る、世代を超えて受け継がれる書籍となっています。
■対応内容
経年による色褪せやシミは見られました。また、書き込みやマーカー、ドッグイヤーなどの使用感のある本です。
しかし、丁寧に扱われていたため破損はなく、十分に再利用できる状態だと見受けられました。
そこで、学習需要の高い定番書ということもあり、1000円 でのお買い取りをさせていただきました。
査定金額をお伝えしたとき、「書き込みがあっても大丈夫なんですね」と驚いておられました。
■お客様のお声
「引っ越し準備の中で、いろいろな本を手放したのですが、この本だけは思い入れもあり、最後まで手元に残してしまいました。けれど、引っ越し日がどんどん近づき、今日思い切って持ってきた次第です。
これらの本が、今の学生の学びにつながると思うと、やっぱり嬉しいものですね。素敵な気持ちの区切りになりました」と、晴れやかな表情で話してくださいました。
■スタッフのひとこと
勉強の証が詰まった医学書には、その方の努力や葛藤が詰まっています。W様の医学部時代を支えたのだと思うと、査定する私も胸が熱くなりました。
この3冊は、今後、“知識を学ぶ本”から新たに“知識を伝える本”となっていきます。再び、学生さんの手で開かれ、きっと、次の学びを支えていくのでしょう。
W様の新天地での活躍にエールを送りながら、大切な本をお預かりいたしました。
その本、本当は価値があるかも?
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