生年 1902年8月26日
没年 1930年2月10日
日本の推理作家・幻想小説家。
推理作家・渡辺啓助の実弟。
1924年、映画原案の懸賞公募に『影』を投稿し、一等入選。
1926年、慶應義塾高等部を卒業。
1927年、『新青年』第2代編集長に就任し、編集助手として博文館に入社。
1928年、創作活動に専念すべく退社。
1929年、兄・啓助とともに「ポー、ホフマン集」の代訳(江戸川乱歩)を行い刊行される。
1930年、神戸在住の谷崎潤一郎のもとへ原稿の催促に赴いた帰り、西宮市夙川の踏切で乗っていたタクシーが貨物列車に衝突し、病院にかつぎこまれるも脳挫傷にて死去。満27歳だった。
作品例
『影 Ein Märchen 』1925年
『少女』1925年
『兵隊の死』1927年
『嘘』1927年
『氷れる花嫁』1927年
『父を失ふ話』1927年
『可哀相な姉』1927年
『シルクハット』1928年
『ああ華族様だよと私は嘘を吐(つ)くのであった』1929年
『アンドロギュノスの裔(ちすじ)』1929年
ひとこと
渡辺温の作品には、箇条書きで書かれた小説があります。一見すると、まるで台本やシナリオのよう。その内容は思いの外ハードなのだけど、こういった実験的な小説も、一度手に取ってみると面白いのではないかと思います。
ただ、交通事故のため、27歳という若さで早くに亡くなってしまったのが大変口惜しいところ。作品は、あまり多くは残っていません。横溝正史の右腕として編集を担い、小説の執筆に励んでいた渡辺温。もっと長く生きていれば、きっと多くの素晴らしい作品を遺していたことでしょう。
僅かな期間に遺した作品を一冊に集成した全集もあり、このような優れた作家が居たのだということを偲びつつ、振り返る意味も込めて、ぜひ多くの方に読んでいただければと思います。
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