生年 1909年1月27日
没年 1975年7月21日
日本の探偵作家。
ただし、本業は電力会社の技術者であり、定年まで会社員として勤める。よって、執筆は本業の傍らで行われていた。単行本としての出版は数少なく、雑誌への掲載がメインの作家。
しかし、その功績は大変大きなもので、実は、日本において初めて鉄道ダイヤを題材とした長編探偵小説『船富家の惨劇(1936)』を手掛けた作家であり、日本の推理小説史に深くその名を残している。
現在、鉄道ダイヤを用いた推理小説を手掛ける作家として広く知られる鮎川哲也や松本清張も、蒼井雄に大きく影響を受けたとされている。鉄道ダイヤへの着目、推理のカギとなる視点の開発は、非常に価値ある出来事だったと言える。
作品例
『狂燥曲殺人事件』1934年
『ソル・グルクハイマー殺人事件 G、絞られた網』1934年
『船富家の惨劇』1936年
『執念』1936年
『瀬戸内海の惨劇』1936年
『最後の審判』1936年
『蛆虫』1936年
『霧しぶく山』1937年
『黒潮殺人事件』1947年
『第三者の殺人』1947年
『三つめの棺』1947年
『犯罪者の心理』1947年
『箱詰裸女』1948年
『感情の動き』1948年
『灰色の花粉』1978年 没後、遺稿として発表
ひとこと
蒼井雄は長編作品に強い作家であることから、短編が好きな方には少々読みにくさを感じさせるところもあるかと思います。しかし、戦前でありながら、これほどまでの作品を描けるのかという部分に感嘆。現代においても色褪せない作風であり、これはぜひ、読んで欲しいと感じます。
次々に事件が起こるテンポ感や、複雑なトリックは読みごたえがあり、読み進めながら一緒に謎解きをしていける作風も推理小説の醍醐味だと言え、とても楽しめる部分と言えるでしょう。
はじめて蒼井雄作品を手に取る方であれば、やはり、鉄道ダイヤを主軸にするという新たな着眼点を日本で初めて生み出した『船富家の惨劇』がオススメです。
戦前の力強い作品に、ぜひ一度、触れてみて欲しいと思います。
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